2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520060
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Research Institution | The Eastern Institute |
Principal Investigator |
鈴木 一馨 The Eastern Institute, 研究員 (50280657)
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Keywords | 風水 / 日中交流 / 禅宗 / 江西派 / 中世 / 景観 / 朝鮮風水 |
Research Abstract |
本年度は(1)13・14世紀において日宋・日元間を往来した僧侶全般に関する調査と、それらの僧侶が開創した寺院の調査、(2)10世紀から14世紀にかけての造宅・庭園・都市形成について同時代的に記されたものにおける空間認識に関する調査、(3)またこれまでの研究により収集したデータのデータベース化作業、(4)河南省における禅宗寺院の調査を行なった。 僧侶の調査については、前年度に引続き諸僧の著述からの風水関係用語の検出を試みたが、特に検出に至らなかった。国内での寺院の調査は山口の常栄寺、下関の功山寺、京都の建仁寺・鹿苑寺、那覇の円覚寺跡において行ない、建仁寺では旧三門の礎石の実測より軸線の傾きの検出をし、建長寺と類似した軸線の意識を持っている可能性を見出した。また、沖縄の円覚寺跡では三門前の石畳に龍脈を意味すると思しき石列があることが判り、中世琉球も江西派風水の影響の下にあった可能性を指摘することができる。 空間認識に関する調査では、同時代記録からの検出に特に成果を上げることはできなかったが、時代を少しくだったところで、山口の瑠璃光寺五重塔の立地が朝鮮風水の立地と類似していることが判り、中世日本の風水については単に日中関係ばかりでなく、朝鮮経由での江西派風水の受容も考慮すべき必要が理解された。 収集データのデータベース化については、徐々に進めたものの期間中の完成には至らなかった。 河南省における調査では、登封の少林寺、南詔の丹霞寺などを中心に禅宗寺院の景観調査を、禅宗寺院と立地・景観上の関連があると思しき中岳廟など道教寺院の景観調査と併せて行なった。
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