2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520070
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉原 浩人 Waseda University, 文学学術院, 教授 (80230796)
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Keywords | 大江匡房 / 宗教思想 / 日本漢文学 / 日本思想 / 中国古典籍 / 国際研究者交流 / 註釈 |
Research Abstract |
本研究は、大江匡房の多数の著作のうち、特に思想方面の研究の基礎となるテキストの校訂と註釈を行い、その成果をもとに大江匡房の宗教思想や文学的営為を闡明することを、主な目的としている。匡房の全集はいまだ刊行されておらず、今年度はその刊行のための基礎作業を中心に行った。まず『江都督納言願文集』全六巻(第四巻闕)の校本を作成するための基礎作業として、本年度は、古鈔本として存在は知られていたものの、全貌が明らかにされていなかった身延文庫本巻一と、国立歴史民俗博物館本巻三・六を、吉原浩人編『古鈔本『江都督納言願文集』』(二松学舎大学21世紀COEプログラム、2009.3)として翻刻刊行した また前年度に続いて、大江匡房『江都督納言願文集』『本朝続文粋』『朝野群載』『本朝文集』などに所載される一部の作品について、本文校訂・読み下し・現代語訳・構造分析・註釈・解説・文献一覧からなる詳細な註釈を作成した。「白河院金字一切経供養願文」の詳註の公表は、その一端となるものである。 さらに、大江匡房の思想の源流を探るため、摂関期及び院政期の文人貴族における、天神信仰・勧学会と白居易の詩文の関係について考察した。また大江匡房の思想を研究するためには、日本古代の「神」観念と習合思想について明らかにする必要があり、これらの方面についても解明を試みた。上記に関連する研究発表や講演は、中国・韓国・イタリア・日本の各地で行い、別記の通り、論文4編、学会発表7件、編著書2冊を公表した。
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