2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520070
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉原 浩人 Waseda University, 文学学術院, 教授 (80230796)
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Keywords | 大江匡房 / 宗教思想 / 日本漢文学 / 日本思想 / 中国古典籍 / 国際研究者交流 / 註釈 |
Research Abstract |
本研究は、平安朝院政期に活躍した大江匡房の多数の著作のうち、特に思想・宗教方面の研究の基礎となるテキストの校訂と註釈を行い、その成果をもとに大江匡房の宗教思想や文学的営為を闡明することを、主な目的としている。またその前提として、摂関期文人貴族の思想・宗教・文学的背景をも探っている。 昨年度には、『江都督納言願文集』身延文庫本巻一と、国立歴史民俗博物館本巻三・六を、吉原浩人編『古鈔本『江都督納言願文集』』(二松学舎大学21世紀COEプログラム、2009.3)として翻刻公刊した。本年度は、この成果をもとに、大江匡房『江都督納言願文集』『本朝続文粋』『朝野群載』『本朝文集』などに所載される一部の作品について、本文校訂・読み下し・現代語訳・構造分析・註釈・解説・文献一覧からなる詳細な註釈を作成した。 さらに、大江匡房の思想の源流を探るため、摂関期及び院政期の文人貴族における、勧学会と白居易の詩文の関係などについて、詳細に考察した。また大江匡房の思想背景を研究するためには、日宋関係史や神仙思想について考察する必要がある。昨年度は、『宋史』に収載される唯一の日本人文人貴族が草した育然上表文を取り上げ、その註釈と背景の解明を行った。また、冥界の支配者とされる泰山府君信仰の日本における展開についても解明を試みた。上記に関連する研究発表や講演は、アメリカ・中国・日本の各地で行い、別記の通り、論文4編、学会発表8件を公表した。
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