2006 Fiscal Year Annual Research Report
東西の霊性における愛の思想史ー古典文献に見るユダヤ・キリスト教の愛と仏教の慈悲
Project/Area Number |
18520073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
須沢 かおり ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (50171195)
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Keywords | 愛 / 思想史 / ユダヤ・キリスト教 / 仏教 / 慈悲 / 聖書 / 霊性 / 宗教言語 |
Research Abstract |
東西の霊性における愛の思想史を主要テーマとする本研究は、ユダヤ・キリスト教の「愛」と仏教の「慈悲」についての思想史的吟味を行ない、原典に忠実な比較思想学の方法論を踏まえつつ、愛について言及されているテクストを異なった文化圏・言語の原語文献に照らし合わせながら解読しようとするものである。古典文献の背後にある人間の霊的、宗教的な経験、固有の宗教を越えた人間の普遍的な心の領域がどのように言語表現化されているかを比較・検討しつつ、東西の霊性における愛の思想史の新しい解釈への道を宗教体験、神秘体験という視点に立ち、提示しようした。 本年度は初年度であり、研究のための堅固な土台、環境整備をつくるために、具体的に次の研究をおこなった。 1 ヘブライ聖書、ユダヤ教文献(タルムード、ミドラッシュ)、キリスト教神秘思想の文献のなかから愛に関する叙述、テクストを抽出した。ヘブライ聖書においては、特にレビ記と雅歌を取り上げ、新約聖書は「愛」という言葉が使われている主な箇所を抽出し、テクストの構成、動詞の態、頻出する比喩、隠喩ならびにイメージを検討し、ユダヤ・ヘブライの文化と宗教において、また、キリスト教において『愛』がどのように理解されているかについて検討した。 2.大乗仏教、浄土真宗の文献を解読し、「慈愛」、「慈悲」、「大悲」、「慈」の意味内容について検討した。 3.研究テーマについての情報交換と研究討議のため、ヨーロッパに出張し、ドイツ、イタリアで資料の収集と研究者との討議による研究計画のレビュー、突き合わせを行なった。さらに、研究協力者のノイデッカーとの学術的交流を深め、共著論文を執筆した。
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