2007 Fiscal Year Annual Research Report
東西の霊性における愛の思想史-古典文献に見るユダヤ・キリスト教の愛と仏教の慈悲
Project/Area Number |
18520073
|
Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
須沢 かおり Notre Dame Seishin University, 文学部, 教授 (50171195)
|
Keywords | 愛 / 思想史 / ユダヤ・キルスト教 / 仏教 / 慈悲 / 聖書 / 霊性 / 宗教言語 |
Research Abstract |
今年度はキリスト教の「愛」と仏教的「慈愛」に共通する思想的文脈を明らかにするべく、聖書、ギリシア教父の雅歌註解、キリスト教神秘主義の著作、漢訳仏典、親鸞、道元の著作にあたり、テクストにもとつく比較研究をおこなった。仏教において「愛」という用語は、執着や欲望との関連で理解され、ユダヤ・キリスト教における愛における人格的な概念は直接的にはあらわれていない。しかしながら、執着を超えた次元での「慈愛」、「慈悲」はニュアンスの相違はあるが、おのれを超え出るところにおいてあらわれる世界という意味では、キリスト教的な愛に通じるものが仏教的な慈悲には見いだされ、この点に本研究の新しい地平を切り披くことができた。今後の課題としては仏教における共苦、慈愛、慈悲という概念と、キリスト教における犠牲愛、十字架の愛との関連をさらに突き詰めて探究する必要性が明らかになった。また研究代表者はドイツ、スイス、イギリスに海外出張をし、フライブルク大学、ミュンヘン大学、ブリブール大学、ロンドン大学などで専門家との意見の交換、研究発表などをし、国際的共同研究を実現した。今後主な研究成果としては、海外共同研究者のReinhard Neudecker(ローマ教皇庁立聖書研究所聖書学部教授)と共著論文を発表したほか、研究代表者は共著『中世と近世のあいだ-』(知泉書館)を出版し、本研究に関わる研究成果の公表に努めた。
|
Research Products
(2 results)