2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520075
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 幸人 Hokkaido University, 大学院・文学研究科, 准教授 (30374169)
|
Keywords | 美術史 / 神道美術 / 神仏習合 / 在地縁起 / 天神信仰 / 絵巻 / 浄瑠璃 / 絵本・読本 |
Research Abstract |
平成20年度は、前年度に引き続き、本研究課題に関して、調査資料・データの整理作業、未見資料の調査を行い、それらに基づいて下記の論文2編をその成果として発表した。 (1)近世における北野天神縁起絵巻の制作 竹居明男編『北野天神縁起を読む』、p.207-228、2008年11月1日、吉川弘文館 (2)「道明寺鶏鳴説話」をめぐって-天神縁起絵変容の一側面- 「北海道大学文学研究科紀要126号」、p.1-35、2008年11月 (1)では、これまで実見できた近世の天神縁起絵の様相を通覧・分析・分類した。 すなわち北野天神縁起絵巻がどのように「継承・変容」されているかを概観した。とくに「北野縁起」に「菅公生前説話」が挿入され、これが「ご当地縁起」へ展開する基点となることを述べ、そしてご当地縁起の成立と受容こそが天神信仰の近世的なあり方の核となっていることを確認した。また最新の調査結果として、丁類の縁起文にもとつく縁起絵巻の存在を報告した。 (2)では、「ご当地縁起」の最も代表的かつ典型的な説話でありながら、これまでまとまった論考のほとんどなかった「道明寺鶏鳴説話」をとりあげて、その成立と展開の様相を述べた。とくに道明寺鶏鳴説話を収録する縁起、縁起絵(絵巻、掛幅)、絵本読本等、二十数点を紹介することができ、それぞれの特色と系譜について考察を行ったものである。 また本稿は今後計画している近世から近代にかけての菅公イメージ形成の研究基礎データともなるものである。
|