2006 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代における琳派作品受容についての社会的・造形的研究
Project/Area Number |
18520096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
仲町 啓子 実践女子大学, 文学部, 教授 (80141125)
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Keywords | 俵屋宗達 / 尾形光琳 / 酒井抱一 / 尾形乾山 / 受容者 / 琳派学習 / 売立目録 / 住吉家古画留帳 |
Research Abstract |
宗達・光琳・抱一の作品を中心に、『光琳派画集』『東洋美術大観』『光悦派三名家集』をはじめとした、明治時代から昭和初期ぐらいまでの琳派関係の画集、『國華』などに掲載された論文、及び『売立目録』などにあたって、旧蔵者を出来る限り博捜し、リスト化した。『住吉家古画留帳』(東京芸術大学蔵)の写真資料にあたって、抱一周辺に存在した琳派作品の実態について調査を行い、所蔵者をはじめとしたデータを集め始めた。上記三人の絵師以外の尾形乾山・渡辺始興・深江芦舟・成乙印の絵師・立林何げい(臼+巾)・俵屋宗理・鈴木其一・中村芳中などについても、適宜資料の収集を開始している。さらに判明した所蔵者についての情報の収集も行っている。 また、江戸時代における琳派の作家や作品に関する言説の収集にも着手した。過去の研究を参考にしつつ、画伝類、画譜類、随筆、フィクション、茶会記などの資料にあたっている。特にその言説がそのような文脈で語られているかという点に留意して分析している。 江戸時代における琳派以外の絵師たちによる琳派学習の実態についても調査を開始している。特に光琳没後の18世紀に、京都と江戸で巻き起こる光琳流行の実態、地域差・時間差について分析している。光琳没後の京都で、池大雅、円山応挙、伊藤若冲らが展開した光琳(あるいは光悦)風の作品についてのイメージを集めるとともに、18世紀後半の江戸における光琳理解の「場」の特質についても分析した。版本による琳派イメージの普及についても資料を集めている。 全般的に言って「研究計画」に記述した通りのことを順次進めている。
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