2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
荒川 裕子 法政大学, キャリアデザイン学部, 助教授 (10329542)
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Keywords | 美術史 / イギリス美術 / ヴィクトリア朝 / 美術館 / 文化政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、十九世紀イギリスのヴィクトリア朝の美術を、同時代の文化政策の動き、とりわけこの時代に著しく推し進められた美術館政策との関連という視点から捉えなおすことにある。具体的な研究の方法としては、ヴィクトリア朝を大きく前期・中期・後期に分け、それぞれの時期における実際の事例を手がかりとして、アーティストの制作やその作品が、美術館という公共に開かれた文化施設の存在とどのように影響を及ぼしあっていたのかを検証していく。 初年度にあたる本年度は、まずヴィクトリア朝の美術および美術館政策に関わる情報を総合的に収集・蓄積し、研究全体の基盤を形成することに努めた。同時にまた、個々の事例に基づいてより具体的かつ詳細なレベルの研究を進めていくために、まずヴィクトリア朝前期に焦点を当て、画家J.M.W.ターナー(1775-1851)の遺言に基づく自作品の国家への寄贈や、それを土台としたイギリス美術専門の国立美術館の設立構想等の周辺についで、関連文献の収集や作品調査を実施した。これらの作業は、主としで同時代の一次資料を多く所蔵するイギリス国内の専門の研究施設、すなわちヴィクトリア・アンド・アルバート美術館付属ナショナル・アート・ライブラリーや、テート・ブリテンをはじめとするイギリス各地の美術館において遂行された。 併せて、文化政策ないし美術館政策についてのより広範な理解、とりわけ今日におけるさまざまな課題を的確に把握するために、関連学会・研究会への参加や、特色ある活動を展開している国内外の美術館の視察を行った。なお今年度の研究成果の一部、、特にヴィクトリア朝の美術館政策全般の動向については、法政大学キャリアデザイン学部紀要(第4号)掲載論文「ヴィクトリア朝におけるミュージアム思想[II]」にまとめられている。
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