2006 Fiscal Year Annual Research Report
玉虫厨子透彫り文様にいたる東アジア動植物モティーフ融合文様形成過程の研究
Project/Area Number |
18520109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
山本 謙治 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30309372)
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Keywords | 装飾文様 / 動植物融合モティーフ / 西安碑林博物館 / 石碑 / 墓誌・墓誌蓋 / 国際情報交換 / 中国 / 西安 |
Research Abstract |
本年度は中国<西安碑林博物館>所蔵の石碑・墓誌に施された装飾文様を研究対象とし、3度の現地調査(2006.8.9〜20、10.31〜11.7、2007.3.25〜31)を行った。同博物館館蔵文物約8000点の中核をなすのは漢代画像石・唐代陵墓石彫・仏像彫刻などと、漢代よりの碑刻約2500点である。これら碑刻のうち石碑・墓誌・墓誌蓋などの多くには装飾文様が施されているが、従来の西安碑林碑誌研究は、金石文および書法を対象とするものがほとんどで、装飾文様に焦点をあてた研究は、わずかに長広敏雄が6碑石を造形分析した程度である(「唐代の唐草文様」1950)。同氏は唐代文様研究に「貴重な資料をあたえるのは西安碑林の多くの紀年銘ある石碑であるが、現在われわれはそれらの碑の文様拓本資料をわずかしか手にしていない。とにかく研究を促進する方向はこの辺にキイ・ポイントがあると思う」と述べているが、以来半世紀を過ぎてもいまだに西安碑林の装飾文様は本格的な研究の緒についてはいない。 今回の調査では趙力光館長の御協力により未展示碑誌、拓本等の資料収集も行えたが、まず展示碑誌より、時代を唐代以前に限り、碑石30石、墓誌・墓誌蓋35石の計65石に装飾文様を確認し、実物碑石(2168枚)、墓誌・蓋(620枚)、拓本(512枚)の画像データ(3300枚)の収集を行った。これらはいずれも紀年銘をもち基準作例となる。碑石30石のモティーフ系統分類は比較的容易で、動物文系4石、植物文系19石、融合文系(動植物系融合の可能性がある抽象化文様)6石となる。墓誌・墓誌蓋は、特に六朝時代のものを中心としてモティーフ系統分類は容易ではない。 次の研究段階としては、墓誌文様のモティーフ系統分類とともに、各作例に対する造形的分析[装飾空間分析(空間分割構成法・文様配置法)および個別文様分析(文様要素・単位文様・複合文様)]を行い、本研究課題である動植物モティーフ文様の造形的な融合プロセスを解明していく。
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