2007 Fiscal Year Annual Research Report
玉虫厨子透彫り文様にいたる東アジア動植物モティーフ融合文様形成過程の研究
Project/Area Number |
18520109
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
山本 謙治 Hannan University, 国際コミュニケーション学部, 教授 (30309372)
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Keywords | 装飾文様 / 動植物融合モティーフ / 西安碑林博物館 / 碑誌 / 〓首 / 抽象化モティーフ文様 / 雲気文 / 西安 |
Research Abstract |
本年度は<西安碑林博物館>所蔵碑誌および石彫の彫飾文様作例のなかに動植物系モティーフの融合プロセスを見いだすことを第一の課題とした。昨年度3回の実地調査に続き、今年度は2007.8.9〜8.19と2008.2.17〜2.24の2度、碑林博物館での実地調査を行った。8月調査では、碑側文様のある碑石30石の画像データを収集し、その空間分割法と文様構造の分析をおこなった結果、造形的モティーフ系統として、(1)動物モティーフ系統3石、(2)抽象化モティーフ系統((1)が抽象化されたもの)4石、(3)過渡的植物モティーフ系統((2)から(4)への過渡的なもの)2石、(4)植物モティーフ系統21石に弁別することができた。また文様の構造分析により単位文様の構造展開を跡づけると、(2)から(3)への作例展開は李愍碑(649)→道因法師碑(658)→智該法師碑(639)→道徳寺碑(658)となり、7世紀半ばが抽象化モティーフ系統から植物モティーフ系文様への転換期であったことが明らかになった。これについては2007.10.24に碑林博物館で開催された国際学術研討会議において発表した。また石刻芸術陳列室に展示される<唐李寿墓(630)>の調査において、<墓門>の左右柱側面と地覆石に抽象化モティーフ系統、左右柱正面に過渡的植物モティーフ系統の文様を見いだすことができたが、これらはこれまで日本には紹介されていないものである。 2月の調査では、碑石の実測図を作成し、同時に〓首の画像データを収集した。これまで碑石の実測は実施されたことなく、〓首の形式も未編年であるが、文様研究としては?首に彫られた龍の体表装飾が重要な意味を持つ。龍文様から雲気文が形成される過程は、従来の研究でいまだ十分に明らかにされていないが、龍の体飾文様は龍にからまる雲を文様化したものと考えてよく、これら体飾文様を分析することで、雲気文の形成および動物モティーフ系文様が抽象化される過程を明らかにすることができる。この点については報告書に記載する。
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