2006 Fiscal Year Annual Research Report
イコノロジーの再生 -イメージ解釈の包括的な基礎理論をめざして-
Project/Area Number |
18520110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 哲弘 関西学院大学, 文学部, 教授 (60152724)
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Keywords | イコノロジー / ヴァールブルク / 美術史学 / 解釈 / タビスリー / 景観 / ヴィント / ルーモール |
Research Abstract |
「イコノロジーに関連する多様なテクストの精密な読解」という課題にもとづいて本年度は、まず、ヴィントの『シンボルの修辞学』(The Eloquence of Symbols)の翻訳を完成させ、次に、ルーモールの『料理術の精神』についての考察を行った。ヴィントの翻訳は本年度にほぼ作業を終えて、2007年5月に晶文社から刊行される。これまで日本でヴァールブルクの生涯やその業績についての検討が行われる際にはゴンブリッチによる伝記からの情報に依拠することが多かったために、美術史学を超えた、とくに思想史的な角度から見たときのヴァールブルクの業績についての理解が、とかく欠落したり歪曲されたりしがちであった。この翻訳によって、その傾向が是正されることになればと期待をしている。また、ルーモール研究の成果は今年度の『人文論究』に発表した。この論文では、これまで互いに無関係に論じられてきたルーモールの業績の2つの側面(美味学/美術史学)を有機的に連結して、それが美術史学の成立に対して持つ意味を明らかにした。このほか、今年度は、イコノロジーと自然景観の関係を扱った論文を2本、分担執筆した。 物品類の購入は、ほぼ予定通りに完了し、画像の分析にも着手しているが、夏に予定していた国外出張は事情により2月に延期をせざるを得なかった。ヴィントの翻訳作業の進行状況なども考慮した結果、調査内容も変更して、イコノロジーの成立期に調査と分析が進んだ古代図像(とくにローマの石棺)についての資料調査と収集を行った。国内出張は、出版社や研究者との打合せのためのものである。
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Research Products
(3 results)