2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520124
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
村田 右富実 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 教授 (30244619)
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Keywords | 万葉集 / 上代文学 / 漢字 / 古事記 / 日本書紀 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、上代文学における漢字使用の総体的様相を探るため、デファクト・スタンダードとなるべき平準化されたユニコード版テキストファイルの作成を続けている。万葉集、古事記はすでに校正まで終了し、極めて精緻な研究が出来る環境が整ったといってよい。ただし、古事記は検索結果を活字本から見つけ出す際のタグ付けに難しい面があり、あらたな検索方法を模索している。そして、この二作品に引き続き、日本書紀のテキストファイル作成に入っているが、古事記、万葉集に比較して、あまりにも大量の異体字やユニコード外の文字があり、難航しているのが現状である。一方、風土記の入力も平行して行っているが、こちらはまだ、どのような問題点があるか見えてきていない。 一方、完成したテキストファイルを用いた研究は着実に進んでいるといえる。村田右富実・廣川晶輝『南大阪の万葉学』(大阪公立大学共同出版会、二〇〇七年)、「筑前国の志賀の白水郎の歌十首について」(美夫君志、二〇〇八年)は、その結実である。テキストファイルは、万葉集内の用例の検索や、類似表現の掘り起こしに必須のツールとなっている。また、上代文学会秋季大会における発表「神亀四年正月の雷鳴-6・九四八〜九四九番歌について-」にも、本研究の成果の一部が利用されている。さらに現在、多変量解析を用いた文学研究を進めている。こちらは小さな研究会で発表し、これから活字化すべくブラッシュアップする予定である。
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