2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 勝明 和洋女子大学, 人文学部, 教授 (60255172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雲英 末雄 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70046572)
伊藤 善隆 湘北短期大学, 総合ビジネス学科, 講師 (30287940)
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Keywords | 近世文学 / 俳譜 / かるみ / 蕉風 |
Research Abstract |
芭蕉が晩年に唱えた「かるみ」の実態とその影響を明らかにするため、いくつかの方針を立てて、調査・研究を開始した。その一つは、『炭俵』『別座敷』の内容や入集者の分析を通して、芭蕉がいう「かるみ」がどのような形で具体的に顕現しているかを、調べること。そのために、これまでの研究を集成した文献目録と、入集者の俳歴を一覧の形にする略年譜集の作成を計画。二年後の完成をめざし、今年度は、そのための基礎的な作業を行った。注釈活動も、これに連動して行われるべきことになり、今年度も、いくつかの資料紹介や注釈の活字化を行った。二つめとして、『炭俵』『別座敷』が刊行されたと同時期、あるいはそれ以後の俳書を総合的に調査し、入集者の一覧を中心に、基本的なデータを抽出・蓄積すること。この点に関しては、貞享元年以後の俳書を対象に、「元禄時代俳人大観」の題目で発表を続けており、今年度は、宝永元年に刊行された俳書の調査を進め、「元禄時代俳人大観(二十七)」と「元禄時代俳人大観(二十八)」を公にした。また、その調査を中心的な目的として、石川県立図書館の月明文庫や三原市立図書館の蔵書調査などを行ったが、その過程で、もう一つの方向性が浮かび上がってきた。それは、三原において顕著であるように、芭蕉が「かるみ」を唱えていたころ、地方俳壇の多くはなお一時代前の談林調を示し、元禄末から宝永・正徳・享保の時代になって、「かるみ」の風潮になびいていく、ということであり、地方俳壇の動向を広く調べる必要性が痛感されるようになった。最終的には、宝永期以後の「かるみ」化した地方俳譜と、芭蕉自身の「かるみ」とを比較・検討することも視野に入れ、今後の研究を進めていくという、見通しを得るに至ったわけである。
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Research Products
(8 results)