2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520129
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石川 透 Keio University, 文学部, 教授 (30211725)
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Keywords | 奈良絵本 / 絵巻 / 横型 / 国文学 / 美術史 / 江戸前期 / 室町物語 / 調査撮影 |
Research Abstract |
横型奈良絵本については、これまで、国文学はもちろん、美術史・日本史といった分野からも、ほとんどまとまった研究がなされていない。今日までの奈良絵本の研究は、主に室町物語研究の側から、一つの作品だけという単発的な研究しかなされてこなかった。しかも、その奈良絵本の中でも、特大縦型の豪華な奈良絵本の研究紹介に留められており、私自身の奈良絵本の研究も、絵巻や縦型の奈良絵本の研究を行ったに過ぎない。しかし、私の調査によれば、奈良絵本の中で圧倒的に多く製作され、今日最も多く残されているのは、横型の奈良絵本である。そして、これらは、前代の絵巻や奈良絵本のたんなる模写ではなく、内容的にも個性的なものが目立つのである。そこで、本研究では、日本全国に実在する横型奈良絵本を調査し、その所在地を明らかにし、許可が下りたものについては、その全文を撮影することを行った。現在は持ち運び用のパソコンに画像等を取り込むことができるので、全国各地の調査で持ち運び用のパソコンに保存した画像を、研究室で大容量のパソコンに取り込み、一つずつの作品の画像処理を行うのである。本年度の主な調査撮影地は、大阪府立図書館、京都国立博物館、京都大学図書館、徳川美術館、蓬左文庫、等である。これらのうち、個人の撮影を認めず、所在地の業者に撮影を委託する所蔵者には、奈良絵本全文のカラー写真の作成を依頼して作成した。こうした資料を収集した上で、横型奈良絵本のタイプによる分類や、詞書き筆者の確定、絵師の推定を行った。また、国文学上重要な作品であるものは、その紹介や翻刻・影印を学会誌等に発表を行った。
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