2006 Fiscal Year Annual Research Report
総合雑誌における占領期検閲と文学との相互関連性の研究
Project/Area Number |
18520140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
十重田 裕一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40237053)
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Keywords | 日本近代文学 / 占領期日本 / 雑誌 / 検閲 / 第二次世界大戦後 |
Research Abstract |
総合雑誌における占領期検閲と文学との相互関連性を目的とする本研究では、今年度、主に以下の二点のテーマに取り組んだ。 一点目は、アメリカ合衆国のGHQ/SCAP(General Headquarters/Supreme Commander for the Allied Powers)が、第二次世界大戦後日本の占領期に、どのような雑誌をいかに検閲したかを検証することである。総合雑誌・文芸雑誌・婦人雑誌など、雑誌のジャンルごとに調査をし、資料の収集を行った。特に焦点を定めたのが、「文藝春秋」「改造」「中央公論」である。 二点目は、戦後に発表された文学テクストについて、どのような検閲が具体的に行われたかを探ることである。研究協力者の協力を仰ぎ、近現代の日本の文学者を対象に調査をし、多数の資料を収集することができた。 上記の二つの目標は十分に達成されたが、特に後者については、研究協力者に助けられ、定期的に会議を開催し、研究成果を出版する目途がたつ段階まで到達した。 本研究に関連する研究成果としては、「事前検閲と事後検閲の光と影--川端康成作品への検閲と鎌倉文庫刊「人間」に関連して」(20世紀メディア研究所 占領期雑誌記事情報データベース完成記念シンポジウム「占領期の雑誌メディアをひらく」2006年4月9日)がある。ここでの発表の一部をまとめた論文が、2007年4月刊行予定である。発表予定の論文では、GHQ/SCAPの検閲が、占領期日本の各メディアにおいてどのように具体的に行われ、被検閲者の側にどのように受け止められていたかを、占領期に刊行された雑誌「人間」に即して検討している。この他にも、当該研究期間中に、研究成果を発表する準備を進めている。
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