2008 Fiscal Year Annual Research Report
総合雑誌における占領期検閲と文学との相互関連性の研究
Project/Area Number |
18520140
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
十重田 裕一 Waseda University, 文学学術院, 教授 (40237053)
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Keywords | 日本近代文学 / 占領期日本 / 雑誌 / 検閲 / 第二次世界大戦後 |
Research Abstract |
本年度は、文学とメディアとの相関性に焦点をあて、占領期の検閲について検討を加えることを研究の中心課題とした。作家・作品に限定することなく、雑誌というメディア・編集者・出版社と文学との相互関連性という視点から、占領期の文学にあらわれた問題を具体的な資料に基づいて総合的に解明しようと試みたのである。その成果の一つに、2009年3月6、7日の2日間にわたって、アメリカ合衆国・コロンビア大学において開催された、占領期を中心とする日本文学と検閲に関するシンポジウム(“Censorship, Media, and Literary Culture in Japan:From Edo to Postwar")がある。鈴木登美・コロンビア大学教授と協同でこの国際シンポジウムを開催し、基調講演“Censorship and Literary Expression in Occupation-Period Magazines: On the Kamakura Bunko Magazines"を行った。この講演では、第二次世界大戦後、占領期日本の文学テクストにうかがえる検閲の特色を、掲載誌および発行元との関係に留意しながら検討した。より具体的には、鎌倉文庫から刊行された雑誌に注目し、具体的事例に即しながら、占領期日本の検閲と文学の特色を考察したのである。また、このシンポジウムの成果は、論文集として刊行を予定している。他の研究成果に、これまで収集してきた資料を編集し、『占領期雑誌資料大系文学編』全5巻(岩波書店、2009年刊行開始)を刊行する準備を進めたことがあげられる。
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