2007 Fiscal Year Annual Research Report
医事的教養と宮廷医の活動-中世医事書、特に医事説話をめぐって-
Project/Area Number |
18520143
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
美濃部 重克 Nanzan University, 人文学部, 教授 (90065475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 雅雄 南山大学, 人文学部, 教授 (70148295)
辻本 裕成 南山大学, 人文学部, 准教授 (90249920)
中根 千絵 愛知県立大学, 文学部, 准教授 (80326131)
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Keywords | 伝屍病 / 疳の虫 / 虫封じ / 『伝屍病肝心鈔』 / 『医家千字文注』 / 孫太郎虫 / 宮廷医 / 御薬 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に引き続いて、「伝屍病」に関する研究、「疳の虫」に関する研究を中心に行うと共に、『医家千字文注』の注釈的研究を行った。また、そのために、武田科学振興財団杏雨書屋、国立公文書館、西尾市岩瀬文庫ほかでの文献資料調査を行った。その結果、例えば岩瀬文庫に蔵される逸名医書をはじめとして、いくつかの有益な資料を発見することが出来た。 まず、「伝屍病」の研究については、「伝屍病」についての重要な資料である武田科学振興財団杏雨書屋蔵『伝屍病肝心鈔』を翻刻、紹介し、関係資料を対校すると共に、同資料、および「伝屍病」について考察した論考を発表することが出来た。 「疳の虫」については、前年度より引き続いて資料の集成に努め、論考を発表した。特に、民俗的事象の考察に力を入れ、我々の研究協力者であるペトロ・クネヒト氏に依頼して現在もなお虫封じの儀礼を行っている山梨県昌福寺、茨城県大山寺に実地調査に赴いてもらい、その報告をもとに虫封じ儀礼の意味について考えた。他にクネヒト氏には、江戸時代から戦前に至るまで虫封じの薬として有名であった孫太郎虫についても調査を行ってもらい、その知見をもとに論考を執筆した。 『医家千字文注』の注釈的研究は、現存の写本・版本に誤りが少なくないことがわかってきた。それらの箇所の校訂に時間がかかり、今年度中には成果の発表に至らなかったが、出典の調査、読解、書き下し文の策定などは着実に進んでおり、遠からず研究成果を世に問えることと思われる。 この他、正月の宮廷行事であった「御薬」の研究を行った。
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