2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
真下 厚 立命館大学, 文学部, 教授 (50209425)
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Keywords | 神話・伝説 / 沖縄 / 御嶽由来記 |
Research Abstract |
本年度は宮古島における口頭の神話・伝説についての資料収集、この地域の文献資料『御嶽由来記』の諸本調査及びこの両者の神話・伝説についての比較研究に取り組んだ。これによって明らかにし得たことは以下の通りである。 『御嶽由来記』の写本は5本確認することができるが、このうち、琉球大学付属図書館伊波文庫蔵の田島利三郎筆写本は書写年代が必ずしも古いわけではないが、本文系統から考えると最も古い内容をもち最善本とすべきものであり、他はこれを増補したものと思われる。この書物には25の御嶽についての由来、1つの祭祀についての由来などが記載されているが、このうち口頭の神話・伝説と内容が一致するものは4つの御嶽についての由来説話、1つの祭祀についての由来説話である。 これら口頭の神話・伝説では動作の主体を明確にせずに不可思議さを強調したり、前文のことばを次の文の初めに繰り返すなどの表現がみられるのに対して、これをもとに記述した『御嶽由来記』の神話・伝説では時・所を明確にしたり、登場人物の心情を類型表現を多用して詳述するなどしており、また当時の思想に照らして不都合とみなされた点については口頭の神話・伝説のモチーフを積極的に改変して叙述しているのである。
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Research Products
(2 results)