2006 Fiscal Year Annual Research Report
寺社勧進・修造をめぐる唱導文芸に関する文献学的研究-九条家と慶政の動向を中心に-
Project/Area Number |
18520152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
近本 謙介 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 助教授 (90278870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 穣 大阪大学, 大学院文学研究科, 助教授 (70314341)
川崎 剛志 就実大学, 人文科学部, 教授 (70281524)
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Keywords | 慶政 / 九条兼実 / 西行 / 信円 / 興福寺 / 東大寺 / 永久寺 / 讃仏乗抄 |
Research Abstract |
本年度はまず、慶政の活動を考える前提となる、九条兼実との関わりを有しながら勧進・修造が進められた時期の問題として、南都焼き討ち(治承の回禄)後の再建事業に関する調査と考察とを行った。東大寺図書館および神奈川県立金沢文庫に伝わる『讃仏乗抄』について、興福寺僧解脱房貞慶との関わりから分析を進め、その周辺資料についても収集を図った。またこのうごきと関わる問題として、「文治から建久へ-東大寺衆徒伊勢参詣と西行-」(『巡礼記研究』第三集)によって、西行による関東・奥州への勧進行脚の問題を、東大寺衆徒による伊勢参宮との関わりから問い直す試みを行った。同時に、九条家との関わりを有する資料の発掘にも努め、春日大社および海住山寺その他での調査を遂行した。これらによって収集した資料については、重要語句などを検索可能とするためのデータベース化を進めている。 また、九条兼実と南都興福寺との連携を考える上で重要な場として、内山永久寺に関する研究を進め、「中世の内山永久寺をめぐる信仰と文芸」(伝承文学研究会 平成十八年度大会 平成十八年九月三日 於静岡文化芸術大学)と題する口頭発表を行った。ここでは、「内山永久寺置文」や「内山之記」に記載される仏師や絵仏師の活動と、兼実の弟で興福寺別当となった信円との関わりや、そこで生み出される唱導や文芸の問題について、学際的な立場からの分析を行った。 一方、次年度からの、九条道家と慶政との連携によって勧進が進められた時期に関する調査研究のために、本研究の準備段階から用意してきた慶政に関する研究を進め、その成果を「慶政の『漂到琉球国記』」(『国文学解釈と鑑賞』第71巻10号)および「慈円から慶政へ-九条家の信仰と文学における継承と展開-」(『中世文学研究は日本文化を解明できるか』所収 笠間書院)にまとめた。
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Research Products
(3 results)