2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520155
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
小助川 元太 Kure National College of Technology, 一般科目, 准教授 (30353311)
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Keywords | 画題 / 後素集 / 帝鑑図説 |
Research Abstract |
1.抄物や『帝鑑図説』,楊貴妃関連画題などの基礎的調査をしながら,その視点で今一度『後素集』の画題解説部分を見直す作業をしているうちに,画題解説部分に(1)図像のコード化を目的としたもの,(2)絵画の背景となる故事の解説を目的としたものという二種類の位相があることに気づいた。この分類を『後素集』掲載の全人物画の画題解説に対して行うことを今年度の課題としたい。 2.戦国時代から江戸初期にかけての公家日記資料に加え,『隔?記』や『碧山日録』,『蔭涼軒日録』などの禅僧の日記の調査を行った。ただし,校務に時間を取られ,思うようには進まなかったため,具体的な成果は出ていない。今年度は引き続き,安土桃山時代から江戸初期にかけての知識人たちの人的ネットワークや同時代の政治思想の調査を進めたい。 3.2007年9月2日に開催された伝承文学研究会大会第1日目のシンポジウム「知的文化の転換期-1600年前後-」にて,コメンテーターとして参加。本研究の成果を踏まえ,戦国時代から江戸初期にかけての知識人の知の伝受のありかたについて,意見を述べた。また,『月庵酔醒記』研究会において,漢画の画題に関わる物事の起源に関する漢故事について発表した。 4.これまで進めてきた研究の成果については,調査が不十分だったことや,新たな事実を見出したことなどにより,当初の予定とは方向が変わってきたこともあり,論文として公表するに至らなかった。だが,上記1,2のように基礎的調査を進めた結果,一定の方向性が見出せた。この成果については,今年の9月下旬に,イタリアのレッチェで開催されるヨーロッパ日本研究協会(EAJS)の国際会議で発表することが決まっており,発表のための準備を進めている。その発表結果をまとめ,帰国後すぐに学術雑誌に投稿する予定である。
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