2006 Fiscal Year Annual Research Report
室町期を中心とする天台宗寺院の学芸に関する基盤的研究
Project/Area Number |
18520156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
齋藤 真麻理 国文学研究資料館, 文学形成研究系, 助教授 (50280532)
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Keywords | 説話 / 仏教 |
Research Abstract |
平成18年度は、第一段階として叡山文庫を始め天台宗関連資料を集積している文庫の調査を行い、法華経注釈書類について考究を進めた。奥書所見の談義所のデータを集積することにより、それらが成立してゆく過程を考察するための準備が進行中である。従来、こうした談義所成立の背景には、地理的な条件が大きく左右したことが知られているが、本研究によるデータの整備を通し、街道・海道との密接な関連性を抽出できるものと思われる。 その一方、地方の天台宗の大寺院についても調査を進めた。とりわけ、中国地方随一の天台宗寺院、鳥取県大山に関わる室町物語『伊豆国奥野翁物語』の存在に気づき、研究に着手した。本作品は仏教説話や室町物語に見られる常套的手法を含むが、大山固有の信仰と説話の伝播の様相も反映する。度重なる災害のため資料の大半を失った大山にとって、往時を伝える貴重な資料ともいえよう。その研究成果については「伯者富士と吉尾翁」と題する論考にまとめ、現在、最終校正を行っている段階であり、近日、清文堂出版(大阪)の『説話論集』第16集にて公刊の予定である。また、天台宗の学僧はしばしば自ら著した法華経注釈書に多くの和歌を引用するが、そこには『夫木和歌抄』を始めとする類題集に所見の和歌も見出される。従って、中世類題集と天台の学芸とをめぐり、調査研究を行い、成果の一部を国文学研究資料館「本文共有化の研究」平成18年度研究報告書に掲載した。
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Research Products
(3 results)