2008 Fiscal Year Annual Research Report
室町期を中心とする天台宗寺院の学芸に関する基盤的研究
Project/Area Number |
18520156
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
齋藤 真麻理 National Institute of Japanese Literature, 文学形成研究系, 准教授 (50280532)
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Keywords | 説話 / 仏教 |
Research Abstract |
平成20年度は、前年度に引き続き、叡山文庫等の調査結果を活用しつつ、田舎天台と称される寺院の調査研究を行うこととした。様々な地方誌等も探索・活用し、学僧の学芸・学問的活動の実態の把握に努めた。例えば、学僧たちがどのような資料を通じて歌道に親しんでいたか、それらは学僧たちが執筆した注釈書類にどのような形で反映したのか。後世にはそれらは広く諸宗派の談義資料でどのような変容を遂げつつ、継承されていったかなどの具体相の明視に努めた。 具体的な調査としては、高知県山内家に所蔵される資料の中に仏教教導に関する書承・口承資料が存在することに気づき、その調査を行った。また、愛媛県大洲市に残る国学者矢野玄道の旧蔵書にも関連する説話資料が伝存するため、これも調査を行った。 天台僧が自らが著した経典注釈書の中で、積極的に活用したのは数多の和歌や道歌であったが、とりわけ勅撰集など典拠を明らかにしながら実証的に和歌を引用した学僧実海に焦点を絞り、その学芸の実態を検証し、小論として公表した。 このほか、『説法助言抄』など説法談義に関連深い資料の発掘と収集を行った。その成果は一括して最終年度の報告書に掲載予定である。
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