2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しい『ファウスト』研究における<道化論>的視座の可能性
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18520160
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
田中 岩男 Hirosaki University, 人文学部, 教授 (70091618)
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Keywords | 道化 / 喜劇性 |
Research Abstract |
『ファウスト』には、「献詩」「劇場での前狂言」「天上の序曲」という3つのプロローグが付けられている。1806年に『ファウスト第一部』が発表されるに先立って、1800年前後に書かれたと推測されるこの3つのプロローグが加わることによって、『ファウスト』の構想は面目を一新することになった。 3つのプロローグは明らかに『第二部』をも見据え、『ファウスト』全体の大きな構想の下に書かれている。そしてそのことは、ゲーテが「ひじょうにまじめな諧謔」と呼んだ『ファウスト』の独特な性格とも密接に関わっていると思われる。プロローグによる新たな構想以後、<道化>としてのメフィストの性格がつよく打ち出されたことによってもそのことは裏付けられる。 前年度からの研究を受け、本年度は、3つのプロローグをもつ新たな『ファウスト』構想と『ファウスト』の諧謔的性格、特にメフィストの<道化性>との関連についてさらに研究を進め、研究成果を中間報告の形で学会誌「ドイツ文学」に発表した。 その論文において明らかにしたことは特に 1. 3つのプロローグとメフィストの<道化性>との密接な関係 2. バロック劇の「世界劇場」の形式を取る「天上の序曲」の持つ意味 3. 「前狂言」「献詩」というプロローグが持つメタフィクション的効果 4. 『ファウスト』は、決して、一見そう見えるバロック的な「世界劇場」ではないこと 5. 『ファウスト』に真にアクチュアルな問題を取り扱うことを可能にした重層的な構造と『ファウスト』の「近代性」
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Research Products
(3 results)