2008 Fiscal Year Annual Research Report
理性と過剰の時代としての「長い十八世紀」におけるユートピア思想の学際的再検討
Project/Area Number |
18520167
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
川田 潤 Fukushima University, 人間発達文化学類, 准教授 (70323186)
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Keywords | ユートピア / 主体 / グローバル / 理想国家 / 諷刺 / 他者 / ジェンダー / 人種 |
Research Abstract |
本年は、十八世紀のユートピアが、当時のグローバルなネットワークが形成されていくなかで、単に一国の政治・経済ではなく、多国間の政治・経済・文化的交渉のなかで新たな意味を生み出していく過程を明らかにした。とりわけ、大英帝国が新たな主体の登場とともに徐々に形成されていく過程が、新たなユートピアを想像する過程と、いかに密接に結びついているかを明らかにすることができたと考えている。 このような作業を通じて、「長い十八世紀」におけるユートピアを、従来の理想国家像中心の言説空間としてではなく、国家を離れた存在との相互作用によって生み出されていくという言説空間の特徴をとらえることができた。 また、従来のように、この時期のユートピアを諷刺中心のジャンルとして見なすのではなく、ジェンダー、人種などのさまざまな他者の要素を組み込み、単純に抑圧するのではなく、そのさまざまな可能性を書き出す言説空間が形成されていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)