2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520171
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
高際 澄雄 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (50092705)
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Keywords | 英米文学 / 英詩 / イギリス音楽 / オペラ / オード / 歌曲 / パーセル / ヘンデル |
Research Abstract |
17世紀イギリスから18世紀中期までのオード、オペラ、歌曲の調査を、大英図書館所蔵の文献と、桐朋学園大学所蔵の文献とレーザーディスク、および入手した市販の文献とCD, DVDにより行なった。この調査により、今まで不明であった音楽と詩の関連性が明確になった。 大英図書館所蔵の文献を調査してみると、この時期には詩の音楽的処理法が短時間に進歩したことが分かる。D'UrfeyのWit and Mirthには多数の歌曲が収録されているが、基本的には一音節に一音を与える単純な書法で書かれており、素朴な民衆歌謡と変わりがない。しかし、John Playfordが出版したChoice Ayres, Songs and DialoguesにはBlowやPurcellなどの優れた音楽家の歌曲が収録されており、2人が当時抜きん出た存在であり、一般にも広く認められていることが明らかとなる。 とりわけPurcellは短期間に複雑な書法で作品を書いており、後の18世紀の書法がすべて認められると言っても過言ではない。これは、一般には原詩が明らかではないので、その取り扱いが不明だが、大英図書館に所蔵されている原詩と比較することで、原詩を細かく分け、単語、句、行、対句、連を繰り返し、音節をメリスマ唱法で歌い、さらに和声法と対位法を対照的に用いて、複雑な歌曲をつくる技法が浮かびあがってくる。 HandelはPurcellより複雑な技法を用いたわけではないが、イタリア様式のオペラによりより、聴衆の注目を集める劇的で名人芸的な歌唱と、華やかな管弦楽で、オペラの人気を決定的なものにした。これは、とりわけDVDによる調査によって明らかとなった。 18世紀イギリスは音楽活動が不活発だと一般には考えられているが、これまでの調査によれば、それは偏見というべきである。
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Research Products
(3 results)