2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520171
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
高際 澄雄 Utsunomiya University, 国際学部, 教授 (50092705)
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Keywords | 英文学 / 英詩 / イギリス音楽 / オペラ / オード / 歌曲 / ヘンデル / パーセル |
Research Abstract |
18世紀前半のイギリスのオペラ、オラトリオ、オードの調査を、主として入手した文献、CD,DVDに上り行い、さらに入手因難な文献を、東京藝術大学図書館と学習院大学図書館で調査した。これらの調査により、PurcellおよびHandelの具体的な活動が明らかとなった。 Purcellについでは、これまで推測の域を出なかった歌詞原文が、全集版に掲載されていることが判明し、今後Kingの主張するような原作の変更が行なわれたかを明確にする手ががりが得られた。 Handelに関しては、『アン女王誕生日のためのオード』の調査により、Purcellから継承した技法と、Handel独自の技法とを区別することができ、Handelの独目性解明に近づくことがでさた。Purcellは詩を生かすように作曲しているが、Handelは時に詩の構成を無視し、自分の技量を見せ付けることを主眼とし、ロンドンにデビューするにあったって、王室ならびに音楽家にアピールしようとしていることが、明らかとなった。 つぎに、Handelがオペラの技法をどのように発展させたかが、Porporaのオペラとの比較により明確となった。彼は、ロンドンの演劇状況を考慮し、観答を惹きつける作品を目指した結果、『アルチーナ』のような独創的な作品を創造できたのである。 きらに、演劇事情がオラトリオ制作にも大きな影響を及ぼしていることも、『ヨセフとその兄弟たち』を分析することによって、明らかとなった。オラトリオにおいて宗教的要素が重要であることは事実だが、Deanの主張するとおり、劇的要素も大切であり、その劇性が『ヨセフとその兄弟たち』の中心をなしている。その点では肝心のDeanがこの作品を否定的に評価していることに疑問を覚える。 本年度の研究によって、PurcellおよびHandelの、これまで議論されなかった側面に着目することができたと考える。
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Research Products
(4 results)