2006 Fiscal Year Annual Research Report
「部屋」のトポス - ローベルト・ムージルと崩壊期のハプスブルク帝国の文化
Project/Area Number |
18520178
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
赤司 英一郎 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80222511)
|
Keywords | 独文学 / 独文化 |
Research Abstract |
「部屋」のトポスについての建築論、文化論等の観点からの諸論述を調べるとともに、崩壊期のハプスブルク帝国に表わされた小説、建築理論、精神分析学における「部屋」のトポスの研究をすすめた。平成18年10月15日から平成19年2月15日まで「平成18年度大学教育の国際化推進プログラム(海外先進研究実践支援)」でドイツに滞在したので、日本文化における「部屋」の表象についての研究にも力を注ぎ、平成18年12月7日にエアランゲン・ニュルンベルク大学日本学科で、同教育学のリーバウ教授、同日本学のアッカーマン教授、東京学芸大学の山名助教授らと共に開いたワークショップでは、「<間>の感覚」と題する研究発表を行った(下記(3))。研究成果の概要は以下の通り。 (1)「部屋」の歴史的変遷についての研究。-日本とヨーロッパにおける「部屋」の意味や価値の変遷について、歴史学者や地理学者の研究を含め、公共空間と私的空間とのかかわりを軸に、研究資料を幅広く集めて調査した。 (2)文学作品等における「部屋」の研究。-特にムージルとカフカの小説における「部屋」の表象について、個人的なものと非個人的なものとの対立という観点から調査した。また、ウィーン分離派や建築家アドルフ・ロースにとっての「部屋」の表象についても調べた。そして、内部(プライベートなもの)と外部(パブリックなもの)の離反、その内部のなかの非個人的なものへの関心をあとづけ、フロイトの仕事の根拠に辿り着いた。 (3)「部屋」の比較文化的研究-かつて日本では「部屋」は「間(ま)」として表象された。これはヨーロッパにおける「部屋」の観念とは異なる。その「間」の感覚は、明治以降、特に第二次世界大戦以降、日本人の日常生活から失われる傾向にあるが、プライベートでもパブリックでもない場と関わる。
|
Research Products
(1 results)