Research Abstract |
赤岩,栂ともに,年度当初提出の研究計画に基づき,その実施にあたった。3年計画の中核の年にあたることを鑑み,具体的な研究の実を上げるべく精力的に作業に取り組み,結果として,別欄にあるとおりの研究成果を挙げることができた。 赤岩は,研究全体において総論の一翼を担う論文を,「自伝のテクスト」というタイトルのもと,査読付き研究誌に発表した。これは,年度当初の研究計画において上げておいた,「自伝的」及び「インド的」というふたつのキーワードのうち,前者について具体的に研究の成果を問うたものである。あわせて赤岩は,これも当初の計画どおり,サルマン・ルシュディー論をまとめ,同じく査読付きの研究誌に発表し,その主要作品である『真夜中の子供たち』について,それと自伝,あるいは,いわゆるマジック・リアリズムとの関係を詳細に検討した。 いっぽう,栂は,V.S.ナイポール,及び,シヴァ・ナイポールを中心に,5篇の論文を,いずれも中京大学教養論叢に発表した。それらはいずれも,赤岩同様,年度当初の研究計画にある「インド的」というキーウードをもとに進められた研究の具体的成果として示されたものである。V.S.ナイポールとシヴァ・ナイポールのふたりは,栂が考えるインド系英語作家による自伝的小説というものの柱を支える作家である。 研究発表としては,前年度に続き,赤岩が栂の主催するボスート・コロニアルの研究会において,コーディネイターを務め,また,栂は,慶應義塾大学で行われた第79回日本英文学会において,シンポジウムの発表者を務めた。
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