2008 Fiscal Year Annual Research Report
エマスンにみる、詩とアメリカ思想の親近性についての研究
Project/Area Number |
18520193
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小田 敦子 Mie University, 人文学部, 教授 (80194554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 明 三重大学, 人文学部, 准教授 (40218326)
武田 雅子 大阪障蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (30024475)
藤田 佳子 神戸女学院大学, 文学部, 非常勤講師 (60079085)
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Keywords | エマスン / アメリカ詩 / シンボリズム / ホイットマン / ソロー / ロマン主義 / ジニアス / アングロ・サクソニズム |
Research Abstract |
最終年度にあたる本年度は、エマスンの全体像を示すことのできるような訳詩集の編集に向けて、毎月研究会を持ち、各詩について議論し解釈を深め、エマスンの思考にとって重要なトピックを精選しようとした。その一つのトピックとして「アメリカの風景」を選び、6月にはアメリカ文学会関西支部例会において、フォーラム"The American Landscape in Emerson's Poems"を開催した。海外協同研究者であるAnita Patterson(ボストン大学)の基調講演"'Of Sannup and of Squaw':Emerson, Hybridity, and the American Legacy in'Musketaquid'"、小田の"The Genius Loci in Emerson's'woodnotes II'"藤田の"A Double Image of a Mountain in'Monadnoc'"の研究発表によって、エマスンの社会改革者でありアメリカ文学の創造者としての姿勢や思考を、詩がよく示していることを例証し、支部会員とも有益な議論ができた。エマスンがニューイングランドの山や松にGeniusを見ているという指摘は、これまで抽象的に考えられてきたGeniusを具体的な自然として捉えることに成功しており、アメリカの研究協力者たちからも評価された。エマスンの詩がアメリカ思想の反形而上学的性質に近しいことを例証できた。また、小田はエマスンが公の場で読んだ詩に現われた「エマスンのアングロ・サクソニズム」についても、風景詩のGeniusについての思考と比較することで、それが19世紀の主流となる人種的イデオロギーとは異なり、それへの批判を含んだ、アメリカ精神の探求であることを論文にまとめた。
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Research Products
(7 results)