2008 Fiscal Year Annual Research Report
初期英国小説における「孤児」主人公と、18世紀英国社会における「孤児問題」の研究
Project/Area Number |
18520199
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
服部 典之 Osaka University, 文学研究科, 教授 (50172937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 アキラ 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00079097)
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Keywords | 孤児小説 / 捨て子養育院 / イギリス18世紀小説 / コーラム・ファウンデーション / 孤児問題 |
Research Abstract |
最終年度にあたる本年度は、3年の研究成果を単著として纏めることができた。『詐術としてのフィクション--デフォーとスモレット--』(全395頁)というタイトルの書物で、英宝社から出版した。本書は、18世紀英国小説家を代表するデフォーとスモレットの孤児小説を、トリック、レトリック、詐術などの観点から縦横に論じたものである。この書物は、日本英文学研究においてもっとも信頼されている雑誌である『英語青年』で書評(書評者・井石哲也氏)が出て、高い評価を受けた。また紀伊国屋の書評空間において、東京大学英文学准教授である阿部公彦氏が多くの紙面を使い、書評を公開してくれている。また、研究課題についての論文「性と交易の物語学--世界周航記と「不名誉な交渉」」を執筆した。この論文を、日本に於ける英国小説研究において最も高い評価をされているシリーズである『英国小説研究』の第23冊において刊行した。 また、国内学会や研究会参加のために出張することにより、本研究課題に関する議論を深めることができた。特に、この問題に関する論文集を編むプロジェクトを立ち上げ、青山学院大学の富山太佳夫教授、杏林大学の原田範行氏と実質的な打ち合わせを3度行えたことは、貴重な成果であった。また、オランダ共和国に海外出張することで、孤児問題を専門に扱う施設である「捨て子養育院」の最も古い施設の調査をすることができ、本研究課題が文学のみならず、広くヨーロッパとアメリカでの文化的意義を持っていることを確認することができた。
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Research Products
(3 results)