2006 Fiscal Year Annual Research Report
プルースト草稿資料における固有名の調査および索引作成
Project/Area Number |
18520202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
和田 章男 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00191817)
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Keywords | フランス文学 / プルースト / 失われた時を求めて / 草稿 / 生成研究 / 固有名索引 |
Research Abstract |
マイクロリーダーおよびパソコンを購入し、大学院生の補助を受けて、市販ソフトAccessを使用することによりデータベースを作成。このデータベースにおいてはアクセスからエクセル、さらにワードへと変換するシステムが構築されており、最終的な段階の索引作成を念頭においている。 文学研究科フランス文学研究室に所蔵しているマイクロフィルム化されたプルーストの草稿帳(カイエ)を解読しつつ、固有名の索引データの入力を開始した。テクストの生成を探求する上で極めて重要であり、かつ執筆順の確定のための指標ともなる名前の変化は送り記号、矢印などによって指示し、草稿の持つ時間的性格を浮き彫りにするよう工夫している。固有名を人名・地名・作品名の3種に分類しているが、「人名」としては固有名以外に、父、母、祖母、叔父など家族の呼称、および医師、画家、司祭などのような普通名詞も特定の人物を指す場合には収拾している。また実在人物の場合には職名、生没年などを補助情報として記入することにより、事典としての機能も併せ持つようにしている。「地名」には国名、地方名、町名、街路名など以外に、建物、施設、モニュメント、組織等も含めている。「作品名」には文学、音楽、美術などの作品名ばかりでなく、新聞・雑誌のタイトルも収録している。さらには固有名が現れている場所を特定しやすいように、行間の加筆、あるいは余白の加筆などの場合はその旨を記入している。 最終的には全草稿帳75冊の索引作成をめざしているが、フランス国立図書館による草稿番号に従って、カイエ1から始め、今年度はカイエ25までの入力を完成した。全体の3分の1にあたる25冊分を入力したことになる。現段階で入力項目数約1700、頻度数約6000に及ぶ。解読の困難な固有名、特定が難しい固有名、また同時期に並存する架空名の扱いなど未解決の問題に関して今後調査を深めてゆく。
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