2006 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカ演劇における歴史表象と文化的アイデンティティの関係性
Project/Area Number |
18520204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
貴志 雅之 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (30195226)
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Keywords | アメリカ演劇 / 歴史表象 / 文化的アイデンティティ / 政治学 / 帝国主義 / 植民地主義 / ポストコロニアリズム / 他者 |
Research Abstract |
平成18年度の研究実績は大きく3つに分類される。第1に本年度研究計画目標であったアフリカ系アメリカ演劇の歴史表象と文化的アイデンティティ構築・更新との関係性を「他者」の人種的歴史(再)表象メディアとしての身体論と連動した研究"Semiotics of Empire Domination : Guns and the Other on the American Stage"を2006年8月米国ATHS (Association for Theatre in Higher Education :高等教育演劇協会)20周年記念大会(於:シカゴ)のATDS (The American Theatre and Drama Society :アメリカ演劇学会)発題パネル"Empire vs. Nation in American Theatre History"(アメリカ演劇史における帝国対国家)で発表。さらに同研究を論考「帝国支配の記号学-舞台の上の銃と他者」にまとめ、共著『神話のスパイラル--アメリカ文学と銃』(英宝社、2007年3月)として刊行した。第2に、本年度予定した2つの基礎作業は、(1)合衆国における植民地主義、帝国主義、ポスト植民地主義の歴史表象の変遷を、演劇作品・パフォーマンスを中心に検証、及び(2)両世界大戦、冷戦、ポスト冷戦に至る政治と演劇の関係性を通時的に俯瞰しつつ「アメリカ演劇の政治学」に関する基本概念の構築だった。これらの基礎作業の通過段階的成果として、現代アメリカ演劇の歴史表象の変遷と射程を鳥瞰図的に論じた論考「現代演劇の冒険--テーマ・パークのリンカーン」を、共著『二〇世紀アメリカ文学を学ぶ人のために』(世界思想社、2006年10月)で発表。そして、第3に、女性の文化的アイデンティティをめぐる問題系を焦点化し、マリア・アイリーン・フォルネス研究の批評言説そのものを脱構築した「パラダイムの逆襲-『フェフとその友人たち』に見るポリフォニーの幻影」を『アメリカ演劇』第18号(全国アメリカ演劇研究者会議、2006年12月)に発表した。
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Research Products
(3 results)