2007 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカ演劇における歴史表象と文化的アイデンティティの関係性
Project/Area Number |
18520204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
貴志 雅之 Osaka University, 大学院・言語文化研究科, 教授 (30195226)
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Keywords | アメリカ演劇 / 歴史表象 / 文化的アイデンティティ / 政治学 / 帝国主義 / 冷戦 / クイア / 他者 |
Research Abstract |
平成19年度の研究実績は大きく2つに分類される。第1に本年度研究計画事項の一環として、19〜20世紀転換期のアメリカ演劇に焦点化し、その歴史表象と演劇メディア・文化に関して、「ナショナル・アイデンティティ」表現装置であったメロドラマを中心に、プッチーニ・オペラとの関連からデイヴィッド・ベラスコを論じた「原作者ベラスコの人と作品」を『プッチーニ 西部の娘』(共著)(財団法人新国立劇場運営財団、2007年4月)で発表。第2に、当初本年度研究予定であったEugene O'NeillとArthur Miller研究は、前年度の共著『神話のスパイラルーアメリカ文学と銃』(2007年3月)で発表し、また合衆国のATDS(アメリカ演劇学会)での発表も2006年8月シカゴでのATHS20周年記念大会のATDS発題パネル"Empire vs. Nation in American Theatre History"で発表済みであることから、次年度の20年度研究計画を前倒しで行った。具体的には、(1)合衆国における植民地主義、帝国主義、ポスト植民地主義の歴史表象の変遷を、演劇作品・パフォーマンスを中心に検証、及び(2)両世界大戦、冷戦、ポスト冷戦に至る政治と演劇の関係性を通時的に俯瞰しつつ「アメリカ演劇の政治学」に関する基本概念の構築、という初年度以来の2つの基礎作業と連動する形で、20年度予定であったT. Williams、 L. Wilson、 D. Rabeを中心に、クイアを焦点化した冷戦からポスト冷戦に至る歴史表象と演劇的政治学に関する研究を実施。同研究にTony Kushner研究を加えた研究成果を「20世紀アメリカ演劇の政治学-冷戦・クイア・ポスト冷戦」と題して、第51回日本アメリカ文学会関西支部大会(平成19年12月8日、於:京大会館210号室)で自身の企画・司会によるフォーラム「20世紀アメリカ文学の政治学」で発表した。
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Research Products
(2 results)