2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
上岡 克己 高知大学, 人文学部, 教授 (10135973)
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Keywords | レイチェル・カーソン / ネイチャーライティング / 環境文学 |
Research Abstract |
交付申請書「研究目的」には以下のように記載した。 課題「レイチェル・カーソンと緑の伝統」において、カーソンの文学作品に英米の緑の伝統--ネイチャーライティングや環境文学がもつ自然や環境に対する文学的想像力、自然保護思想、エコロジー思想、自然教育--を認め、4つの視点(1)カーソンとネイチャーライティングの系譜(2)カーソンと自然保護運動(3)カーソンとディープエコロジー(4)カーソンと自然教育(環境教育)からカーソンの意義を問う。 平成18年度は、(1)カーソンとネイチャーライティングの系譜に焦点を当て、上岡・上遠・原編『レイチェル・カーソン』(ミネルヴァ書房、2007年5月刊行予定)に「レイチェル・カーソンと緑の文学」として発表する。 この論文において、従来見過ごされてきたカーソンを作家、それもネイチャーライティング(環境文学)の作家として明確に規定し、正確な位置づけをはかった。カーソンはソロー以降の、アメリカのネイチャーライティングの伝統上に確固として存在し、かつ時代にあった新しいネイチャーライティング(環境文学)を創造したことが明らかになった。彼女が代表作『沈黙の春』で描いた環境文学の新しい分野「エコロジカル・アポカリプス」や「汚染の言説」は、カーソン以降の作家、たとえばビル・マッキベンやテリー・テンペスト・ウイリアムスなどの作家に大きな影響を与えている。 なお基本文献資料収集のため、平成18年7月から8月にかけて、カーソンの生家、チャタム大学、レイチェル・カーソン協会を訪れた。その報告書を『レイチェル・カーソン日本協会会報』(37号、2006)にまとめてある。
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