Research Abstract |
21年度の研究計画は,「第1段階で得られた文化的変位を,第2段階・第3段階での吟味を経て,グリム童話に関する「普遍妥当的変位」を確定し」,「最終報告書を作成すること」であった。これを踏まえ,研究課題の最終年に当たる本年度の研究成果は,主として以下の4点である。 1. グリム童話・日本古典落語・アメリカ映像文化に関するDVD資料を収集した。 2. 2010年7・8月にポーランドのワルシャワで開催される「ドイツ語学・文学国際学会」(IVG)での研究発表予定の論文:Uber den Homoopathie-Effekt in M. Endes "Die unendliche Geschichte"の原稿を完成した。 3. 20年度に実施した日本独文学会秋季研究発表会でのシンポジウム「エンデ文学におけるファンタジー」に関する研究叢書(No.64)を編集責任者として発行した。 4. 研究課題に関する3本の論文と,ドイツ語関係2本の論文の翻訳を公刊した。 具体的研究成果: 研究課題に関して,平成18~21年度にわたる研究成果を報告書にまとめ,以下の結論を提示した。「1つの童話が異国に伝播されるとき,その本質的部分は不変のものであるが,その童話の文化的環境は,1.宗教的要素,2.人物関係,3.解決手段,4.解決方法,5.登場人物の職業,6.謝礼・報酬,7.処罰の方法,8.果実の種類,9.社会制度,10.文化の成熟度,11.性の開放度,12.良心に基づく勧善懲悪の精神,の点において異国の伝統文化・習慣へと置き換えられる。」
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