2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520226
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
原 研二 Otsuma Women's University, 比較文化学部, 教授 (50115622)
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Keywords | シャウ・ビルダー / トランスパレント / パノラマ / シンケル / フリードリヒ / ディオラマ / 魔笛 / レーベンデ・ビルダー |
Research Abstract |
中間発表として「研究成果報告書」を作成、フリードリヒ・シンケルの光学的業績を評価してみた。 19世紀の像の提供の仕方が、近代アート観からすればきわめて見世物的になっている。まず、「シャウ・ビルダー」。透視画法と機械仕掛けを組み合わせた見せ方。さらに、「トランスパレント」。光を透かして画面を見せる工夫。必然的に逆光場面を専門にした。 ドイツロマン派のもっとも精神的な表現者と目されるフリードリヒの画業もまた、じつは逆光を偏愛しているばかりか、実際に、画面の両面に像を施していて、表と裏から光を交互に当てて、昼夜を光学的に見せようとした試みがある。 シンケルのパノラマ興行、ディオラマの工夫、宮廷でのレーベンデ・ビルダーの演出、すべてが観客をただなかに巻き込むように考案されている。 さらに舞台監督としてのシンケルの活動中、もっとも有名なモーツァルト/シカネーダーの「魔笛」の舞台絵、あるいは「ウンディーネ」もまた、ほとんど、画面の背面から光を差し込ませるようなイメージつくりとなっている。 そういう見世物的にひとを驚かせる工夫が、ひとえにフィクションの只中にひとを巻き込んで感情を揺さぶる効果狙いであったと言い切れない部分がある。「逆光」には、古来図像の抑圧を続けた文化伝統からの突発的解放があると考えられる。
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Research Products
(1 results)