2007 Fiscal Year Annual Research Report
中世後期イギリスにおける宗教文学の写本と読者に関する研究
Project/Area Number |
18520236
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松田 隆美 Keio University, 文学部, 教授 (50190476)
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Keywords | 中世文学 / 西洋中世写本 / 電子テキスト / キリスト教 / イギリス / 書物史 |
Research Abstract |
15世紀イギリスの宗教写本-Oxford,Boll.Libr.MS Rawlinson C.894;London,BL MS Royal 17.C.18-に関して、未刊行テクストのトランスクリプションを継続し、さらに同時期の2点の宗教文学アンソロジー写本-Oxford,Bodl.Libr.MS Douce 322;London,BL MS Harley 1706-に関して、写本の欄外書き込み、ページレイアウト、挿絵、頭文宇などのパラテクスト要素に注目して調査をおこなった。また、英語によるヴィジョン文学を数点含んだ15世紀の宗教文学写本-London,B.L.MS Add.34193-に関して、マイクロフィルムを用いて調査を開始し、写本に含まれるテクストのチェックリストを作成した。 以上のように、15世紀イギリスの主要な宗教写本数点を精査し、未刊行テクストののトランスクリプションを作成したことで、これらの写本中の世俗文学作品を、書物史の方法論を応用しつつ論じ、中世後期文学史のなかに位置づけることが可能となった。蓄積した資料を活用して、中世後期のヴィジョン文学と14世紀のロマンス作品(Sir Gawain and the Green Knigh t)の比較研究を行い、国際誌に成果を公表した。また、本研究の基本である写本の文脈研究が、将来の中世文学研究において、読者の視点を考える上で重要な方法論であることを学会において発表した。
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