2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520247
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
臼井 雅美 Doshisha University, 文学部, 教授 (00223537)
|
Keywords | コロニアル文学 / 英語圏文学 / ポストコロニアニズム / モダニズム / 20世紀英文学 / 20世紀米文学 / 美術史 / 芸術学 |
Research Abstract |
19世紀から21世紀の変革期における女性芸術家の活動と思想に関して、イギリス大英帝国、大日本帝国、そしてアメリカ合衆国が構築した植民地支配が生み出した周辺環境と文化を20世紀と21世紀の英米文学作品から読み取り、リサーチし、研究発表を行った。日本と旧世界であるヨーロッパと新世界でありながらコロニアル支配を社会的・文化的に受け続けた19世紀のハワイにおける結核という病を植民地支配の象徴として描いた現代アメリのハワイ出身日系三世作家Lois-Ann Yamanakaの最新作品を論じた“Holding Trauma in Louis-Ann Yamanaka's Behold the Many"を台湾台北市の中央研究院(Academia Sinica)のInstitute of European and American Studiesにおいて2008年11月28日から29日に開催された"In the Shadows of Empires": The 2^<nd> International Conference on Asian American and Asian British Literaturesにおいて発表した。さらに、20世紀初頭イギリス大英帝国において若い芸術家たちの反戦・反体制運動を含んだブルームズベリー・グループが結成され、その中心となったヴァージニア・ウルフと一員であった『源氏物語』の英訳者Arthur Waleyに注目し、沈黙というバイリンガリズムを共通項として紫式部とウルフを比較研究し、古典作品である『源氏物語』を20世紀初頭のイギリス英語に訳したThe Tale of Genjiが、『源氏物語』の英訳の古典を超え現代文学としてウルフの創作に与えた影響を考察し、文化の翻訳(Cultural Translation)を超えて文化を超越する翻訳(Trans-Cultural Translation)を時代、社会、言語、伝統文化を超えて可能とし、ウルフの文学に一つの共時的文化を伝えたことを、2008年12月20日に開催された同志社大学文学研究科主催の国際シンポジウム『源氏・ゲンジ・Genji』において「沈黙の文学-紫式部とヴァージニア・ウルフ」という題で発表し、その完成原稿を同報告書に掲載した。
|