2008 Fiscal Year Annual Research Report
日中戦争期における香港文学者と日本・中国文学者の関係図
Project/Area Number |
18520256
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
西野 由希子 Ibaraki University, 人文学部, 准教授 (40262357)
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Keywords | 香港文学 / 中国近現代文学 / 日本近代文学 / 日中交流史 |
Research Abstract |
本年度は、研究をまとめるため、データの収集と整理、その分析、考察を行った。 2008年4月に香港で調査を行い、香港大学図書館で同大学香港コレクション所蔵の新聞、雑誌、書籍等を調査、閲覧した。その後は、香港中文大学図書館、香港嶺南大学図書館等がWEB上で提供しているデータベースや資料を利用したほか、書籍の購入などを行った。調査結果は、資料目録と年表の形で整理し、公開のための準備を行っている。日中戦争期およびその前後の時期、中国と日本の文学者がどのように香港を訪れ、滞在し、活動・交流したか俯瞰でき、「文学空間」としての香港の位置を明らかにしていく上で重要な資料となると考えている。 研究は、特に中国の詩人と日本の詩人の交流、中国の文学者が香港で行った、詩を中心とした創作活動というテーマについて考察を進め、2008年12月、お茶の水女子大学中国文学会で、検討中の課題も含めて発表を行った。そこで受けたアドバイスや示唆をもとに、さらに関連の文献や先行研究等を利用して研究を継続している。 本課題の研究を通じ、香港文学史における詩のジャンルの重要性とその意義について、より関心が強まった。香港の詩人として中心的な存在である文学者・也斯について、小説作品のほか詩や詩論に関する研究にも取り組み、日中戦争期の文学者の交流がどのような形で吸収されて香港文学が展開していったのかという視点で、引き続き、研究していきたい。
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