2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国舟山の人形劇に見る口承文藝の研究-「説唐」故事を中心に-
Project/Area Number |
18520261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋谷 英子 (馬場 英子) 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80189513)
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Keywords | 人形劇 / 郭子儀 / 説唐 / 舟山 |
Research Abstract |
平成18年8月18日から25日まで、中国舟山定海市を訪問した。人形劇団侯家班に三日間、午前午後計12時間で「郭子儀」戯を最初の段から「郭子儀大閙花灯」「鮑家荘打」「洞房驚変劫囚車」と上演してもらい、ビデオに録画した。四日目は、舟山の人形劇団の現状を調べるため、侯家班以外の人形劇団に上演を依頼した。紫尾郷顧李村の人形劇団に、午前は「龍鳳双飛」、午後は「馮世恩出考」を演じてもらった。団員は三人で農業をやりながら、兼業で行っているが、後継者はいないと言う。舟山民間文芸家協会会長の張堅氏に劇の上演中の解説をお願いした。中央大学非常勤講師瀬田充子氏に同行してもらい、写真撮影、録音を担当してもらった。 平成19年3月9日から14日まで、再度、舟山を訪問し、前回と同じく侯家班に「郭子儀」戯の続きを三日、計十二時間上演してもらった。今回は、貧しい李白が科挙受験に苦労する話、李林甫と楊国忠の対立など、玄宗皇帝の治世の話、李白出御の段などを上演してもらう。四日目は、比較検討するため、今回は沈家門の人形劇団に、「白兎記」の一段、劉知遠の「投軍」を演じてもらった。大型木偶戯とあるので、人形が大きいことを期待したがそうではなく、3人が同時に上演する、と言う意味であった。舞台が大きく三人でも同時に両手を使い、六体の人形を戦わせるとかなり迫力も出る。四日目の午後は、沈家門の人形劇団が、唐塘天后廟で上演するのを見学した。二百人ほどの観客がいた。今年は春節が遅かったので、まだ正月行事の延長という雰囲気で人形劇の上演は毎日行われていた。昨年度までの調査結果とあわせ、男勝りの女英雄の話が多く、女性の役回りの特徴が見えてきたように思う。次年度はこの点に注目して、上演を整理してみたい。 舟山島だけで二十もの人形劇団が存在することに、改めて驚かされる。次年度も引き続き、郭子儀戯の記録を続け、同時に舟山で活動する人形劇団調査も継続する予定である。
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