2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国舟山の人形劇に見る口承文藝の研究-「説唐」故事を中心に-
Project/Area Number |
18520261
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
橋谷 英子 (馬場 英子) Niigata University, 人文社会・教育科学系, 教授 (80189513)
|
Keywords | 劇 / 口承文藝 / 中国・舟山 |
Research Abstract |
昨年に続き瀬田充子氏(中央大学非常勤講師)と、9月に中国舟山群島定海市を訪れ、人形劇団侯家班に市内の壇聚廟で4日間、郭子儀戯の続きを各日二台4時間強、上演してもらいビデオ録画した。 郭子儀戯は、3年間かけて、約三分の一を見終わったことになる。全体の話の展開をつかむまでには至らなかったが、一応、基づいているテキストについては確認できたし、劇の展開の仕方、脚本なしでの上演の仕方も大体見当がついたので、これで上演録画は区切りをつけた。 2009年3月13日から18日まで、補充調査で定海市を再訪した。これまでの調査のまとめとして、人形劇が現在、実際にどのような場面で演じられているのかを見学して回った。結婚を祖先に報告する結婚式前日の行事では、子どもの誕生を願う予祝行事として、幼児用の椅子が上演途中に用意され、子どもの靴が置かれるのを確認した。また市内の寿山廟で「願戯」が上演されるのを見学した。侯家班は、今や舞台を二つ持ち、侯雅飛さんと姪の侯夏玲さんがそれぞれ主演を勤めて、別々に上演するようになっていた。「願戯」の需要は衰えることなく続いており、現在はなお、人形劇需要安泰の情況を確認した。 前回、録画した郭子儀戯の中に、郭子儀を処刑するために、王爺が手下の兵士に城門を守らせていると、二龍山の仲間たちが、商人や乞食芸人に化けて、門番の兵士を騙して城門を突破する場面があった。これは『水滸伝』の、魯智深救助の場と共通する場面設定である。郭子儀戯には、林沖のように、同名の人物が登場するなど、他にも『水滸伝』と共通点が多い。この点を検討する参考資料として、この場面を文字に起こしてもらった。 尚、9月3日には中国浙江省寧波における「中日非物質文化遺産保護・〓州論壇」で、無形文化財として、侯家班の人形劇を紹介した。また12月22日には、台湾の東呉大学人文社会学院中国文学系で、舟山人形劇の演出について講演を行った。
|
Research Products
(3 results)