2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 時雄 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (60150249)
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Keywords | 中国語 / 表音文字 / 文字史 / ローマ字 / チベット文字 |
Research Abstract |
漢字は中国語を表記するための文字として、すでに三千年以上にわたる長い歴史を持っていて、一般に中国語と漢字は切っても切り離せない存在であると考えられている。少なくとも中国語の正しい書記形態は漢字によるそれであるという通念は全く揺るぎないと言ってよい。では中国語と漢字の関係はどの程度まで密接不可分のものであろうか?中国語は漢字によって書かれるのでなければ、十分にその意味を表現し得ないのであろうか?漢字以外の表音文字で表記された中国語は、結局のところ何故大きな成功を収めることが出来なかったのか?本研究はこのような問題に対して初歩的な解答を与えるために、表音文字による中国語書写の歴史を辿り、言語的及び社会的両面からその特質を探ることを目的とする。この目的を達成するため本研究では、資料として一定のコーパスを確保し得る四つの事象について、それぞれの歴史的経緯を検証したいと考えている。本年度はこれまで経験と実績のある9・10世紀敦煌におけるチベット文字使用につき、再検証を行い、関連する課題について学会発表を行ったほか、総説的論文1篇を公刊した。またプロテスタント宣教師のもたらしたローマ字使用について、最も成功を収めたと見られる教会ローマ字の事例につき、宣教師の残した記録から史実を拾い出すとともに、台灣の台南市において文献調査を行った(長榮中學、台南神學院、國家台灣文學館)。その結果、各種の極めて豊富な材料を収集することが出来たが、研究材料として使用すべく現在整理中である。
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