2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520266
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
佐藤 一好 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (30196224)
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Keywords | 明清寓言 / 董徳〓 / 『可如』 / 李蘇 / 『見物』 / 『排悶録』 / 『通俗排悶録』 / 『闡義』 |
Research Abstract |
20年度は、まず『可如』の著者董徳〓の生涯について一層の解明を進めた。その結果、彼の生卒年が明らかになったほか、董徳鑑「従兄孔昭別伝」等の入手によって、前稿を補訂すべき新事実を発見、現在、関連資料の補充・分析を行っている(21年度内に公表の予定)。次に、明清の義獣譚集とも密接に関わる李蘇『見物』五巻に対する基礎的考察を行い、その成果の一端を口頭発表した。李蘇は『無如』の著者呂坤と親交があり、張華の「博物」や郡雍の「観物」を意識し、動物を「師資」とする立場から『見物』を著した。換言すれば、彼は「物を見る」ことによって動物から「師」とすべき長所や「資」とすべき短所を引き出そうとする。前者が王言『聖師録』の「聖人は万物を師とす」と同趣旨であることは明白で、従来、動物学の著作として扱われている『見物』が思想史的にも文学史的にも重要であることがわかる。さらに、20年度は明清義獣譚を数多く収める清の孫洙『排悶録』とその翻訳、すなわち石川雅望『通俗排悶録』に関する調査・研究も行った。最終年度に向けて、明清寓言の日本への展開を、義獣譚に即して考察しようと考えてのことである。具体的には、先行研究が重視していない呉粛公『闡義』の、『排悶録』における重要な位置を確認した上で、『通俗排悶録』所収の義獣譚十四話から半数の七話を取り上げ、明清寓言史との具体的関係を論じた。現時点では情報提供を中心とする雑考の段階に止まるが、例えば「義犬」で徐芳「七義賛」に言及し、「義鶴」で鶴の旧主を周宗彝と推定するなど、重要な指摘も含まれていよう。
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Research Products
(2 results)