2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520266
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
佐藤 一好 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (30196224)
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Keywords | 明清寓言 / 義獣譚集 / 『無如』 / 『可如』 / 『忠孝別伝』 / 『闡義』 / 『排悶録』 / 馮景 |
Research Abstract |
21年度は、劉元卿『賢〓編』の「観物」を再検討するとともに、今回の研究の総括として義獣譚集の系譜について、さらに詳しい調査・研究を行った。『無如』から『可如』への糸譜については、新刊の『呂坤全集』(中華書局)所収の本文に種々の問題があるので、その定本作りを行った。また、従来の明清寓言史では、ほとんど注目されていない『忠孝別伝』から『闡義』への系譜を実証し、『忠孝別伝』の著者呉震元(字は長卿)の生涯に関する基礎的調査や、別著『奇女子伝』との比較考察を行った。『闡義』については、特に孫洙の『排悶録』、石川雅望の『通俗排悶録』への影響関係を重視した。21年度は、さらに馮景(字は山公)の「書十義事」(黄承増『広虞初新志』巻十九)を本格的に取り上げ、それが明清義獣譚集の系譜に運なる作品であることを実証した。「書十義事」には「義牛」「義馬」等の短篇義獣譚が十話収められており、張潮『虞初新志』所収の類話(例えば陳鼎「義牛伝」)や徐芳「七義賛」との関係など、明末清初の義獣譚を考える上で重要な作品と言える。なお、『広虞初新志』には、中国版の「赤頭巾」すなわち黄之雋(字は石牧)の「虎媼伝」も収められており、明清寓言の多様性の一端を物語る事例として、注目に値する。最後に、『可如』関係の続稿(逸文や生卒年に関する論文)の発表が遅れているが、現在準備中の『中国の義獣たち』(明清の義獣譚集に登場する動物たちを紹介する小冊子)と併せて、順次公表の予定である。
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Research Products
(1 results)