2008 Fiscal Year Annual Research Report
白居易を中心とする中唐「風流」文学の展開に関する研究
Project/Area Number |
18520270
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
諸田 龍美 Ehime University, 法文学部, 准教授 (20304701)
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Keywords | 中国文学 / 白居易 / 風流 / 恋情 / もののあはれ / 多情 / 伊勢物語 / 源氏物語 |
Research Abstract |
平成20年度の研究によって、以下の諸点を明らかにすることができた。 1、「俗化、女性化、恋愛化」を特徴とする中唐の文化は、「女流文学」を育んだ平安中期の文化と、本質的に共鳴するものであること。 2、中唐と平安朝に開花した恋情文学は、共に「色好みの力(多情)」と「文芸の力(多才)」とによって紡ぎ出された作品(テキスト)という点において、本質的に一致し、互いに共鳴するものであること。 3、白居易の「李夫人」「長恨歌」と、『源氏物語』との密接な関係は、中唐と平安朝とに見られる、文化の本質的な共鳴を、最も典型的に示す事例であること 4、『源氏物語』の主人公光源氏の形象は、中唐期に生まれた「風流才子」の形象から影響を受けていること。 5、奈良朝から平安中期に至る間の「美意識およびその変遷」は、〈好色の風流〉や、それを母胎に育まれた〈多情性〉という、中唐の「美意識やその変遷」と、本質的に相呼応する現象であり、『伊勢物語』初段の「みやび」は、そうした東アジア文化のダイナミズムの中で再検討される必要があること。
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Research Products
(3 results)