2008 Fiscal Year Annual Research Report
植民地期旧「満洲」地域における朝鮮人文学者たちの活動研究
Project/Area Number |
18520278
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
布袋 敏博 Waseda University, 国際教養学術院, 教授 (30367122)
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Keywords | 朝鮮近代文学 / 植民地 / 旧「満州」地域 / 北朝鮮 / 新聞 |
Research Abstract |
平成20(2008)年度の研究活動として、2度の研究会・シンポジウムで発表報告を行ない、1冊の長篇小説の翻訳を刊行した。2度の研究会・シンポジウムで発表報告は、(1)2008年10月26日、朝鮮史研究会年次大会(京都・仏教大学)において「初期北朝鮮文壇の形成過程について」と、(2)08年10月30日、A Conference on Korean Literature1945-1950(米国シアトル・ワシントン大学)において「North Korean Literature of Liberation Space」を発表した。 周知の通り、植民地期朝鮮で活動していた朝鮮人文学者たちは、一部は1936年頃から「満洲」地域(現・中国東北地方)に移り住み、また時局の進展につれて、朝鮮在住の文学者たちも、頻繁に満洲と往来するようになっていく。そして、日本の敗戦による朝鮮の解放と同時に、満洲地域に在住していた文学者たちは、(1)そのまま当地に残る、(2)南朝鮮に帰る(移る)、(3)北朝鮮に帰る(移る)等の選択をすることになる。 上記の2つの研究会・シンポジウムでの発表は、このうちの(3)の文学者に焦点をあてたもので、これにより初期の北朝鮮での文学者たちの行動が相当に明らかになった。 さらに、蔡萬植は、植民地末期に幾度か満州の視察に派遣され、紀行文なども残しているが、「太平天下」はその彼の代表作の一つで、蔡萬植を知るのに欠かすことのできない作品でありながら、これまで日本で紹介されたことのなかった作品である。今回の翻訳刊行は、朝鮮近代の風俗・社会等を理解するのに大きな助けとなるものと思われる。
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Research Products
(3 results)