2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国東南方言資料による 「文法化」 に関する記述的研究
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18520293
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐々木 勲人 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (40250998)
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Keywords | 授与動詞 / 受益構文 / 日中対照 / 客家語 / 寧波語 / 福州語 / 厦門語 / タイ語 |
Research Abstract |
本研究は、中国東南地域のさまざまな方言の文法を詳細に記述・分析することによって、北京語のみを研究対象としがちな従来の研究が看過してきた新たな言語事実を発掘し、「文法化」のプロセスを解明する試みである。今年度の研究成果は主に次の3点に集約される。 (1) 受益構文に関する日本語と中国語の対照研究 授与動詞を補助動詞として用いる受益構文に関して、日本語と中国語の共通点と相違点を文法化の観点から考察した。その成果は、2008年10月に北京・清華大学で開催された日本学国際シンポジウムで発表した。また、その内容をまとめた論文 「授与動詞を含む複合動詞の文法化-"V給"と"Vテヤル" の対照から-」は現在印刷中である。 (2) 台湾桃園県の客家語の記述的研究 台湾桃園県の客家語について、『東南方言比較文法研究一寧波語・福州語・厦門語の分析一』 (好文出版,2002年) で整理した31の文法項目に基づいて用例を収集し、分析を行った。文法事項を中心に記述した「文法編」の整理がほぼ完了したので、近く発表する予定である。 (3) 中国東南方言と東南アジア諸語との比較研究 2008年5月にバンコクチュラロンコン大学で開催された言語学シンポジウムへの参加等を通して、中国東南地域の諸方言とタイ語をはじめとする東南アジア諸言語との関連を検討した。
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