2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520296
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 聖子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (70165330)
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Keywords | 文法的機能語 / 語用標識化(文法化) / 語用標識 / 接続形態素 / 発話末 / 「談話と文法」 / 構文理論 / 用法依拠モデル |
Research Abstract |
本研究は、日本語と英語の話しことば談話における心的態度表意メカニズムを、実際の話しことば談話データ(会話、対談、独話)の分析を通して明らかにし、その機能と表意手段の文法を、「語用標識化」の観点から動的に探究することを目的とする。本研究課題で特に焦点をあてるのは、典型的な「文法化」現象のさらに先に起こってくる現象、すなわち、「文法的機能語」が、本来の統語的特質を多少薄め、語用論的機能を強化し、話者の談話における命題態度および発話態度の表意手段として使用され「語用標識」として定着する言語現象である。本研究ではこの言語現象を「語用標識化」とよぶ。 平成18年度は、理論的枠組みとして、構文理論Construction Grammar、及び、用法依拠モデルUsage-based Modelにおける最新の理論的展開、理論上の前提・理念、主要概念とその定義(含む「構文」)の確認し、同理論における「構文の語用論的特質」の分析と記述に関する見解を検討した。また、「語用標識」に関する理論・類型を検討し(Fraser 1996、などを中心に)、「文法化」理論の中での「語用標識化」に関する見解を考察した。 成人言語使用の分析においては、「談話と文法」理論の観点から、「語り」の談話構造とその文法、談話におけるモダリティ表現、Intonation Unitsと統語構造との関連性、Intonation Unitsの機能構造、選好的項構造、談話における連接・接続、談話における指示メカニズムとその文法等を分析した。さらに、これらの研究問題の日英語対照を行った。平行して、子供の文法能力・談話能力の獲得に関して、5、7、9才児の語り談話データに基づき、子供の語りの談話構造の芽生え・発達とその表現手段としての文法の発達を分析した。 またこの間、『談話と文法』という研究へのアプローチ・理論・手法・先行研究を、授業・セミナーおよび共同研究を通してプロジェクトメンバーの大学院生に紹介・導入し、共同研究を進める中で複数のモジュールとなる修士論文のための研究を進めた。
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