2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520296
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 聖子 The University of Tokyo, 大字院総合文化耕究科, 准教授 (70165330)
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Keywords | 文法的機能語 / 語用標識化(文法化) / 語用標識 / 接続形態素 / 発話末 / 「談話と文法」 / 構文理論 / 用法依拠モデル |
Research Abstract |
本研究は、日本語と英語の話しことば談話における心的態度表意メカニズムを、実際の話しことば談話データ(会話、対談、独話)の分析を通して明らかにし、その機能と表意手段の文法を、「語用標識化」の観点から動的に探究することを目的とする。本研究課題で焦点をあてるのは、典型的な「文法化」現象のさらに先に起こってくる現象、すなわち、「文法的機能語」が、本来の統語的特質を多少薄め、語用論的機能を強化し、話者の談話における命題態度および発話態度の表意手段として使用され「語用標識」として定着する言語現象である。本研究では、この言語現象を、「語用標識化」とよぶ。 平成19年度は、構文理論Construction Grammar、及び、用法依拠モデルUsage-based Modelにおける「構文の語用論的特質」の分析と記述に関する見解を検討するのに加え、構文理論的アプローチによる子供の第一言語獲得研究の理論的枠組みを考察し、スタンフォード大学を訪問し、M.Tomasello氏、Goldberg氏、E.Clark氏とこの点について議論をし、意見交換を行った。 談話データ構築に関しては、成人の日英語の「語り」談話、および、会話談話のデータ化を進めるとともに、子供の言語習得の縦断的談話データの収集、転記、データベース化の作業を行った。事例研究としては、節と節を繋いで複文を作る接続形態素の様々な用法を分析した。また、支援動詞と事象名詞とが形成する支援動詞構文のイディオム性と規則性に関して、分析した。 またこの間、『談話と文法』という研究へのアプローチ・理論・手法・先行研究を、授業・セミナーおよび共同研究を通してプロジェクトメンバーの大学院生に紹介・導込し、話しことば談話における文法研究という趣旨・枠組みに基づく博士論文:加藤陽子著「話し言葉における引用表現の研究-引用標識に注目して」(2008)完成した。
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