2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520304
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
熊谷 滋子 Shizuoka University, 人文学部, 教授 (30195515)
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Keywords | 社会言語学 / 新聞投書 / ジェンダー / 文体 |
Research Abstract |
今年は本研究の最終年度である。新聞投書の教育的活用に向けた調査・研究を掲げ、過去10年間における新聞投書自体の分析と、新聞投書を使用した性別判断調査の再分析を試みた。そこで、分かったことは、過去10年間というのは、高度経済成長を支え、推進した日本型システムが破たんし、一方で、男女共同参画社会基本法の成立によって、女性の社会への参画が推進されたことが、新聞投書の投稿者(性や年齢)と投書内容の分析から判明している。 また、性別判断調査の再分析では、書き手の性別判断に大きな変化はなかったものの(男女のおかれた社会的関係に大きな変化がなかったことかもしれないが)、その判断理由からジェンダー認識に差がみられることが指摘できる。「女だから〜」「男だから〜」といったステレオタイプ的な理由付けに抵抗を示す学生(特に女子学生)が登場してきたことによる。 過去10年間における社会変化が、新聞投書に反映し、ジェンダー認識にも影響を及ぼしたことがこの3年間の調査・研究から考察できる。このことは、今後に向けて、社会関係をみていく際に、新聞投書が有効なメディアであること、したがって、教育上も活用して、ジェンダー認識などに気づく、そして、読み解いていく作業として意味のあることだということが指摘できる。今回の結果は、成果報告書にまとめている。
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Research Products
(3 results)